今週のお題「ふつうに良かった映画」『戦争映画のなかで本当に「銃弾」が当たってしまった人』

今週のお題「ふつうに良かった映画」

『戦争映画のなかで本当に「銃弾」が当たってしまった人』

 

大日本帝国」(1982年日)

 

大日本帝国の発展と消滅。真珠湾攻撃から東京裁判までを描く大作。日本の名優が勢ぞろいした東映の意欲作でありますが、私は日本戦争映画でかかせない「名優」に注目しました。それは「ロケット花火」です。

昔の映画での銃弾の表現は現在多様されているCG等による「描き込み」では無く、大抵「ロケット花火」が頻繁に使用されていました。古い戦争映画でも銃弾の描き込みはもちろんされているのもありますが、「生」感は断然「ロケット花火」の方があります。実際に飛ばしているので当然かもしれませんが。

しかし「ロケット花火」は花火ゆえにどこに飛ぶかは分からないのです。男の子ならよく観たかもしれない「平成ゴジラシリーズ」、これでも「ロケット花火」はいっぱい使われています。ゴジラに発射したミサイルが命中もせず、明後日の方向に飛んでいるのに、ゴジラの表面で爆発。モスラに当たっても跳ね返っているロケット弾。映画ならではの興味深いシーンです。最近では「さとうきび畑の唄」「男たちの大和」でも使われていました。

 

それでは映画「大日本帝国」でなにがすごいのか。人の歩いているところに、どこに飛ぶかわからない「ロケット花火」を大量に撃ち込んでいるシーンがあるのです。撃たれる人々は日本兵役の人もいれば女子供もいる、男女平等に乱射するのです。この時代の映画は少し恐ろしい。ある意味で「生」感は現在の戦争映画よりあるかもしれません。大量に容赦なく撃ち込まれる「ロケット花火」そして…

偶然男の人の影に隠れていた女性の頭に命中1時間39分17秒目のシーン)

その女性はたまらず崩れ落ちてしまいます。それは演技で倒れているのではなく、本当に痛くて倒れたものです。「名優=ロケット花火」はこんな事故まで起こしていますが、このシーンはそのまま使われています。

役者の安全管理なんかそっちのけで大量に放たれる「ロケット花火」、それが観れる貴重な映画のひとつと言える作品です。お題の「ふつうによかった」シーンではないかもしれませんが…

 


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