「映画の中の旧日本軍戦車」

「アメリカン・スナイパー」を観て改めて劇中の戦車の魅力を感じました。

 

戦車は戦争映画で必要とされる大切な役者さんです。

ただ、戦車が登場する日本製映画は極端に少ないと思います。

 

1960年代から始まった東宝の制作した戦争映画のメインは艦船、航空機。しかし戦車は全然見ません。

艦船と航空機は人のいるところと乖離した場にいる事が多い為、模型を制作して合成処理をするだけでも、それらしく存在感を発揮できると思います。

しかし、戦車になると少し事情が違ってきます。

地上で兵と共に活動する事が多いということは、ミニチュア合成では現実味が出しにくく、(例えばですが、手のひらサイズのミニチュア戦車に兵隊さんが足をかけてよじ登るシーンを撮るのはとても難しい)なので必然的に実物大セットが要求されてきます。それの方が複雑な合成処理をしなくとも簡単に現実味が出せますしね。ですがキャタピラの巨大な鉄の塊を一から作り用意するにはお金が必要になってきます。そこで安価に作る為に、自衛隊の現役戦車を貸してもらったりする訳です。しかし、問題があります。

 

現在を舞台にした映画を作るのならば大丈夫ですが、戦時中を舞台にした映画ではとても大変になってきます。戦時中の旧日本軍の所有していた戦車は現在の戦車と比較して非常に小型で形がとても変わっているのです。

よくネット上で「チハたん」と呼称されている「チハ」戦車。これも戦時中の旧日本軍の主力戦車の一つですが現在の戦車と比較したらとても形が変わっています。砲身は短く、砲塔も小さく、リベットがむき出しの戦車です。なので現在の戦車が、旧日本軍の戦車を演じようとしたらとても違和感が出てしまうのです。映画「大日本帝国」では現代戦車をそのまま日本戦車として登場させているため、非常に体格が良い戦車になってしまっています。

 

では旧日本軍戦車をどう再現するか?

小さなトラクターを改造して作る、本物を手に入れて動かす、もしくは一から特注で作るかしないとダメになってしまいます。映画にそれほど力を入れられない日本映画では旧日本軍側に戦車は一切登場せず、逆に敵側ばかりに戦車が出てくる様になってしまいます。日本以外の列強の持つ戦車は大抵体格が良いので自衛隊の使用していた戦車を列強戦車役で登場させてもあまり違和感(?)がないです。

日本映画で旧日本軍戦車が登場し、かつ旧日本軍戦車らしい小さく弱そう(?)な外見を再現している作品は私の知っている限り、「226」「戦争と人間」ぐらいしかありません。

海外作品では予算があるのか、旧日本軍戦車を再現しているものが多いです。

中国の制作している支那事変をテーマにした映画ならより多く観る機会があるかもしれません。内容はおそらく反日的だと思いますが、旧日本軍戦車が活躍する映画を鑑賞したいのであればチェックするのも良いかも。

 

長文ですがありがとうございました。