「永遠の0」の「統一された零戦」

今週のお題「今年見に行ってよかったもの」

映画の「永遠の0」です。

知らない人が観ても分かりやすい解説とともに、なぜ特攻として出撃していったのかの謎が徐々に解明されていく様は最初から最後まで飽きさせない内容だと感じました。

それらの人間ドラマをより確かなものにしていく「零戦」のミニチュアやコンピュータグラフィックは素晴らしいものだと感じました。

 

昔の映画でしたら、地上に待機している、または離陸のために地上滑走を始めるシーンは「本物の零戦に忠実な実寸大模型」が使われますが、飛行シーンになると「零戦に似せた全然形の異なる飛行機」が飛ぶという風に‥‥「地上撮影用零戦」と「飛行シーン撮影用零戦」がハッキリと区別できてしまうことがよくありました。

 

永遠の0」では「地上撮影用零戦」も「飛行シーン撮影用零戦」も統一されていて鑑賞中違和感がありませんでした。

 

しかし、昔の映画のように「零戦に似せた全然形の異なる飛行機」がこれから作られる映画には出てこなくなるのではないかと思い、寂しく感じることがあります。

全く違う、よく似ていると賛否両論はあれど、出演者さんも鑑賞する立場の人も、その『偽零戦』を『本物の零戦』と「見立てて」演技する、もしくはその「世界」に入り込む楽しさと言うのがあると自分は思います。

 

この写真には二機の零戦が写っています。

皆さんはどちらの零戦が本物か分かりますか?

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右下が本物の零戦で、左上が偽零戦です。

零戦はアメリカ軍の開発した「T-6テキサン練習飛行機」をもとに大改造を施して作られました。

昔は飛行可能な零戦がなかったこともあり、「確実に飛行できる」「似ている」「数に余りがあり、大量調達が可能」な点を考慮して選ばれたのが「T-6テキサン」でした。

 

本物と比べたら全体的に丸っこくて愛嬌がある雰囲気です。「永遠の0」のように完璧に作られた世界も好感がもてますが、「見立てごっこ」ができる昔の映画も同様に好感がもてます。

 

いろんなことを感じさせることになった「永遠の0」は「今年見に行ってよかったもの」に入ります。